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やってはいけない外壁工事
 ALCパネルの場合、ALCパネルの表面にタイルを貼るということが普通のように行われています。しかし、これはやっていけない工事の1つなのです。えっ、と驚く方も多いと思いますが、意外に常識だと思っていることも多く潜んでいます。やってはいけない工事についてはしっかりとした知識を持って対抗されることが建物に対する愛情ではないでしょうか。
 それでは「やってはいけない工事」のいくつかをご紹介しましょう。
1. ALCパネルにタイル貼り・防水塗装
 ALCパネルの表面にタイルを貼ることは、ALCパネルに取ってみるとこれほど過酷な環境はないのです。
 ALCとは、Autoclaved  Lightweight aerated Concreteの略で「高圧(10気圧)高温(180℃)装置を用い約10時間養生し合成した、空気が混合された軽量コンクリート」のことです。原料は、セメント、珪石(SiO2)、生石灰(CaO)、アルミニウム粉末(高圧高温水蒸気と反応して発泡)を用いており、内部には小さな気泡があるため、水にも浮く軽量コンクリートなのです。

 ALCの特徴は、気泡含有コンクリートなので耐熱性があること、軽い(比重0.6)こと、工場において製造されるため製品安定性が高いこと、気泡があるため加工が容易く調湿性が高いこと、廃番がなく20年たった今でも交換できること、薬剤注入により強度回復できることなどがあります。反対に欠点は、黒いしみ状のよごれや苔が目立つこと、エフロレッセンス(白華現象)が置きやすいこと、ヒビが入りやすいこと、風化しやすいことなどが挙げられます。

 ここでひとつの重要な性質から施行してはいけない工事があります。調湿性があるということは、パネル全面(特に裏面=室内面)を塗装してはいけないのです。本来ならば、表面の塗装も軒天井などに用いる調湿性のある塗料を使うべきなのです。ところが、雨水を内部に入れないようにするため、防水性の高い塗料で塗装しているのです。しかし、この塗装を室内側にまでしてしまうと調湿どころか、呼吸すらできなくなってしまいます。本来、裏面は塗装していないのでどうにか呼吸できるのですが、表は呼吸をすることを犠牲にして防水塗装を行っています。この場合、防水塗膜をこまめにメンテナンスして常に完全な防水状態を保つことができるならば、それなりにALC板も長持ちしますが、ほとんどの場合、放置され、塗膜が膨らんだり、剥離したりするまで放置しておくので、逆に外部から侵入した雨水が塗膜により逃げ場がなくなり、ALC内部に水が溜まるという「絶体に避けたい事態」を招くのです。このように、常に水に曝されたALC板はさらに劣化が進行し、最後には手で触るだけでボロッと砕け落ちるほど劣化するのです。

 タイル張りについても同様です。タイル目地およびタイルを接着するために用いられた下地モルタルが吸水・保水し、初期段階から高い保水状態となり、劣化が進行しやすくなるのです。
 この中途半端な化粧(塗装・タイル)は、見栄えこそ良好なもののALCにとってみれば5割良好、5割苦痛といった選択をしてしまったことになります。タイルを貼るための接着材はモルタルですから、給水タンクをわざわざ取り付けていることになるのです。

 つまり、塗装やタイルを張るのであれば、何もしないALC板よりも何倍も気を配らないとALC板の劣化を進行させてしまうのです。それを防ぐには小まめなメンテナンスをすることが大切ということになります。
2.ALCにピンニング
 さて、さらに輪をかけて困った工事をする業者がいます。1つはピンニングといってエポキシ系の接着剤をタイルとALCの隙間に打ち込むという工事です。この工事の目的はタイルの再接着・落下防止にあるのですが、実はタイルの接着にはならず、ALC内部の空洞にどんどん吸い込まれてゆきます。つまり、目的は達成できないということです。ピンニングはRCのタイル剥離防止には硬化がありますが、ALCに大しては何の効果もありません。知識不足、経験不足からこのような無駄な工事をする業者がいます。
3.タイルにクリアコート(透明塗装)
 もう1つの困った工事は、タイルの上から透明塗料とか、透明コートとかいってタイルとタイル目地にクリア塗装をしてしまう工事です。日本ペイントのグラシー等などの塗料がそれを代表するものなのです。これらの塗料は塗った時には目地を含めて防水されるためとてもよいと言えるのですが、2年から3年経つと日焼けをした時に皮が剥けるように汚い状態になり、さらにそれをメンテナンスする方法はないとメーカーですらお手上げの処理であるため、些か困ったことになっています。
4.プライマーを入れないシーリング、シーリング材料の打ち増し
 ALCは3m×0.6mの寸法の板状の壁材で、通常は鉄骨造の梁に固定金具を噛ましてボルト締めし、ゆらゆらスウィングするように吊り下げます。これをロッキング工法といいます。建物はどんな場合でも揺れており、その振動を吸収するために建物と一緒にスウィングさせるのです。ですからALC同士は常に擦り合ってしまうため、1枚1枚ごとに緩衝剤としてシーリングとよばれるゴムのパッキンのようなものを詰めるのです。このシール材も塗料と同様、紫外線に弱く、10年も経つとぼろぼろにヒビが入ったり固くなるのです。この状態では防水効果はなく、ALCパネルの裏面に雨水は浸透しています。

 しかし、石膏ボードの裏面には断熱材があり、それが擁壁となって室内に水が浸み出てこない状態が4、5年続くのです。この間、ALCは水に浸され続け、激しく風化してしまうのです。ですから、10年に一度はシールを打ち替える必要があります。
 この工事においても十分に注意が必要です。シール材を打つ時には必ずプライマーを使うことが大切です。そうしないと劣化したALCがシール材に接着せず、すぐに剥離を起こすことがあります。足場をはずしてしまったら、シールの打ち直しはできません。また、シールの上から塗装をする場合はシール材が見えなくなります。ですから、シール打ちが終わった段階での中間検査は必ず必要なのです。

 その時のチェックポイントがプライマーの有無、シール材は打ち増しではなく、打ち替えであること、最適な材料であることの3つに注意をする必要があります。材料の選定は素人には判りにくいのですが、塗装をする部分のALCにはウレタン(ノンブリードタイプ=油染み防止)、タイル面などの直射日光のあたる部分、サッシ周りには変成シリコン、石張面にはポリサルファイドを用いることとなっています。大抵の場合は、ウレタンか変成シリコンのどちらかなのでそのあたりをしっかりと聞くとよいと思います。また、シリコンはガラス面だけにしか使いませんので、変成シリコンのことをシリコンと呼んでいる場合には注意が必要です。プライマーの有無はサッシ周りの工程でシール打ちの前、刷毛でプライマーを塗布しているかどうかを確認すれば済みます。また、打ち増しでないかどうかは、古いシールを取っているかどうかで判りますから、シールの廃材があるか否かで判定付きます。さらに、厚みが十分にあるかどうかは古いシールと新しいシールを部分カットしたものを比較して判定することができます。これらのことを業者にレポートで提出させることを契約時に唱えば問題ないかと思います。
5.足場なしのブランコ工事
 下記のようにALC板を加工して補修するのに足場なしでは到底できないことは想像できるでしょう。ロープ1本のブランコでは塗装以外の下地補修はほとんどできないのです。つまり、ビル・マンションの外壁改修にはならないのです。ブランコは足場の立てられないところで仕方なく作業するための苦肉の策であり、常用すべき工法ではありません。
6.防水工事のDIY
 防水工事だけは素人がしてはなりません。防水工事は主剤と硬化剤を決められた比率で混ぜないと硬化不良を起こします。同様に硬化までの時間が定められており、施行時間を長く取ってしまうとすべて無駄になってしまいます。自分でやろうとすると思いのほか重労働であり、休み休みやっていると防水塗膜の硬化が始まってしまい流動性がなくなります。従って、複数の人で一気に仕上げることが必要で、決して自分でやろうと思わぬ方が無難です。また、下地処理のケレン、清掃などが不十分ですと防水塗膜が剥離してしまいます。このため、効率的にプロに依頼すべきでしょう。
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